おむえす

脳に栄養を

カウンセリングマインド

福祉と搾取

共同生活援助施設利用中のクライエントの診断書作成が回ってきた。 今般年金申請を行うとのことなのだが、主治医との関係性がとれておらず、年金申請の現症時診断書作成のための情報収集及び診断書作成ということであった。 予約が詰まっていたので、6時間…

一呼吸おいてからの一言がカウンセリングでは重要である

AI手法の進歩は目覚ましいものであり、今度は東京大学がてんかんの脳波を検出するAIを開発したという。 http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20190131.pdf 先日もAIのお知らせをしたのだが、医療が革新的に進歩していく予感である。 さて、今日のお…

どうしてわからないんだ!の対処法

人間とはわかってもらいたい生き物である。 わかってもらえないことは、悲しいことであり、腹が立つことでもある。 承認欲求の一部でもあり、他人から認められたいという気持ちの変性と考えて差し支えないだろう。 ところが、これが難しく、相手に伝わらない…

飲み会は心理的技術の披露の場である

心理的援助で重要なのは、クライエントの心的事実を受け止めることである。 求められる姿勢は傾聴であり、その訴えの奥底にある心を推察していく。 ある時、指導者に精神科は芸の世界であるといわれた。 様々な技を用いて芸を行うのであるという。 技は各領…

確証バイアスの罠にはまらず検証を行う

人間は確証を持ったものを、選択的にピックアップする傾向が強い。 例えば、近所に有名なランチの店があったとしよう。 最近ではすぐにスマホで検索して評判を見ることができる。 某グルメアプリでは☆4であり、訪問ブログなどを読んでも好意的であなた自身も…

認知的に今年の抱負を実現する方法

新年が始まるとクライエントと「今年の抱負」を立てている。 まず最初に昨年の振り返りから始める。 認知行動療法を取り入れながら行っているので、振り返りの一つ目はこうなる。 ・昨年でよかったこと、できたこと、うれしかったことは何ですか これを行う…

シュビングの傾聴

シュビング夫人をご存知であろうか。 なぜかあまり有名でないのだが、ゲルトルート・シュビングはスイスの看護師で、フロイト派の精神分析を学んだ。 著書「精神病者魂への道」に記されたシュビングの手技は「シュビング的接近」と呼ばれ、治療者がクライエ…

笑顔のメリットとデメリット

「男の笑顔、女性の自信でモテ度は下がる」とメンタリストDaigoさんは言われていた。 聴いてみるとなるほど納得な内容である。 daigoblog.jp 女は愛嬌、男は度胸なんてことわざを思い出してしまうのだが、ジェンダー関連の方が反応してしまうかもしれない。 …

リーディングで支援の方向性を定めよ

新人さんに教えるにあたり、基本的なことの復習ができている。 それと同時に、当たり前のことを意識できていない自分にも気づくことができる。 集団療法の場面にて、作業に参加していないクライエントがいる。 スタッフの役割は、そのようなクライエントへの…

組織維持のための組織はいらない

新年おめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 Photo by Brooke Lark on Unsplash 体調不良で寝込んでいたものの、なんとか新年を無事に迎えることができた。 あれから身体化がさらにすすみ、風邪は治らないし、背中が痛み始めた。 ストレス…

メンタルヘルス・ファーストエイド

オーストラリアではメンタルヘルスに問題を抱える人に対して、一般市民が受講できる12時間の講習を行っている。 これはメンタルヘルス・ファーストエイドと呼ばれ、心の問題に対する応急処置となっている。 心理的危機が生じたときに、専門家にかかる前に…

集団療法の専門家としての終わり

職場が緩やかな閉鎖に向かっている。 病院長の高齢化による体調悪化が第一の原因である。 体調が悪化し、外来診療を減らせばよいのだが、後継者がいない。 真実のほどは定かではないが、お子様は本人たちの希望を尊重し、医師の道を強制させることはしなかっ…

催眠術は使えますかという質問へのお返事

心理の勉強をし始めたころから、時折尋ねられることがある。 このブログでもメールで質問があったので、私見を述べたいと思う。 その質問とは、 「催眠術は使えますか?」 である。 実は非常に難しい質問であり、内容によってはYESともNOともいえる。 なぜか…

伝えたいことは正確に

職業人としての生活を続けていると当たり前になってくることがある。 例えば専門用語の使用などは好例である。 看護師であれば「頻回」という言葉をよく使用する。 読んで字のごとく、頻繁な回数のことを頻回というのだが、正しい言葉なのかは疑問である。 …

神経発達障害群の成長に見る社会生活の障害

神経発達障害群の中で、旧来アスペルガー障害と呼ばれていた疾患がある。 アスペルガー障害はドラマや映画での啓もう及び、KYブームの中で広く知れ渡っているだろう。 社会性の障害としてとらえると理解しやすい。 アスペルガーの心性としては、強いこだわ…

眠れないという症状

高齢のクライエントが眠れないという訴えをされる。 布団に入ってから6時間ほど眠れずに布団で悶えているらしい。 その方は軽度の認知症があり、パーキソニズムでお口をいつももごもごされていらっしゃる。 パーキンソン病ではないので、精神病薬の副作用な…

小さい子供に対しての家庭で行うSST

保育園や幼稚園の子共が園児同士のトラブルを起こして、園からの注意を受けることがある。 母親は心底悩み、時に涙を流す。 さて、このような時に子供に対して、どのようなしつけや反省を促したらいいのだろうか。 認知行動療法の一つにSSTが存在する。 …

自閉症スペクトラムの学生に対する援助で気を付けたいこと

自閉症スペクトラム障害の学生の相談は、どのような傾向があるだろうか。 Photo by Nik Shuliahin on Unsplash カウンセリングでは高校生が学校生活や学業の問題で相談に来る。 友人関係がうまく築けないことでの相談はアスペルガー症候群の女性が多い。 素…

統合失調症のサポートに家族が重要だった事例

陽性症状の強かったクライエントが、昨日挨拶に来られた。 「お世話になってました。もう今日で終わりになりました」 どうやら診療が終結したようだ。 クライエントはC子(40代)である。 20代で発症し、注察妄想や幻聴・幻視に悩まされ入院となる。 統…

苦しみに触れていなかった

以前、解離症状が手指に出ており、物がうまく扱えないクライエント(A美)がいた。 A美は統合失調症の40代であり、入院歴がある。 破瓜型であり陽性症状が強かったが、初期対応が良かったことと家庭のサポートが篤かったこともあり、外来治療にすぐに遷…

子供が年下のクラスに行かされたという話

保育園に通う子供が、ずいぶん下の年齢のクラスに入れられたらしい。 どういうことかというと、言うことを聞かなかったので、未就学児のクラスに行かされたとのこと。 確かに落ち着きがないのと、熱中すると周囲の声は届かないタイプの子供ではある。 家庭で…

やらない努力

カウンセリングや集団療法の場において、クライエントに提案をすることがある。 特に集団療法では、作業などクライエントの状態と目標に応じて設定しているため、治療としてしっかりと行ってもらう必要がある。 もちろん、本人には同意済みで進んでいるはず…

心理士の緊急支援で求められるもの

公認心理士試験では、緊急支援や災害支援などが多く問題に出された。 求められる役割である、国民の心の健康の保持増進とは、このような支援が大きな柱となるように考えられる。 古来より日本は災害の多い地形である。 地理学的にも災害を引き起こしやすい。…

マインドフルネス瞑想のコツ

ストレスをストレスと感じないようにするにはどうしたらよいのか。 日常のストレスへの認知を変化させてストレスと思わないようにすれば、人生はもっと過ごしやすくなる。 これはカウンセリングの究極の到達点であり、アジェンダを設定し構成的にカウンセリ…

愛すべき時間を持つ

日常のストレスはどう解消するのか。 我々現代人は、生きているだけでストレスフルな状況にさらされる。 このようなストレスは免疫力の低下のみならず、メンタルヘルスへの悪影響が強いことは周知の通りである。 ストレスへの対処は大きく三つに分けられる。…

カウンセリング時間に遅れて入室したC君

先日、予約時間と介入について述べた。 psycoro.hateblo.jp 実際にどのような介入方法があったか、直近の架空事例をもとに考えてみよう。 架空症例:選べないC君 20代後半 生育歴: 4兄弟の第三子次男として誕生。生家は医業を営んでおり、幼少時に発達的…

予約時間を守れないクライエント

予約時間になってもクライエントが来所しない。 カウンセリング場面ではよく遭遇する。 Photo by Elias Schupmann on Unsplash カウンセリングの展開期であり、中断の危機でもある。 遅刻の場合もあるし、無断キャンセルの場合もある。 大切なのは、このこと…

アイデアをたくさん出すためのコツ

ブレインストーミングは沢山のアイデアを出すことが求められる。 Some rights reserved by kohlmann.s 集団で行うブレインストーミングでアイデアを出すには、他者の意見を受け入れつつ、新たに付け加えていくことが有効だ。 就職面接のグループワークなどで…

対人援助は可能性の探求である

今までWAISを施行していて、印象の残るクライエントは数多く存在する。 その中でもこちらの感情を揺さぶったのは、A子であった。 『終わったら教えてください』と積み木の教示で行うのだが、完成すると外国人よろしく両手を黙って斜め前に差し出す。 終了の…

WAIS-Ⅳ インプレッション

先日WAIS-Ⅳを入手したとの連絡を受けたので、被験しに行ってきた。 今回のWAISは、10の下位検査でIQの算出ができる。 その後に実施する5の下位検査は補助的な扱いなのだろうか。 解説や教示本を読ませてもらっていないので、細かいことはまだわ…