マインドフルネス瞑想のコツ
ストレスをストレスと感じないようにするにはどうしたらよいのか。
日常のストレスへの認知を変化させてストレスと思わないようにすれば、人生はもっと過ごしやすくなる。
これはカウンセリングの究極の到達点であり、アジェンダを設定し構成的にカウンセリングを行っていくものである。
もし、ストレスにより体や心に不調を来していると感じているのであれば、受診したほうが良い。
自力でどうにかするよりも早く対処できる。
精神科・神経科・心療内科への敷居は幾分低くはなったものの、やはり何かと行きづらいと感じるだろう。
ストレスによる不調は、原因不明の頭痛と似ている。
Photo by Asdrubal luna on Unsplash
そのまま過ぎ去るのを待つこともできるし、対処もできる。
市販薬を飲んで落ち着くことがあれば、マッサージやリラクゼーションで改善することもある。
動けないほどの頭痛であれば受診したほうがよい上に、頻繁であったり継続して起こっているのであれば根本から治療する必要がある。
もちろん、他疾患による危険信号の場合もありうるので、極力受診したほうが良いのだ。
ストレスも同じである。
看過していると重大な疾患が引き起こされるところまで似ている。
ストレスへの三つの対応については何度か述べている通りである。
①ストレッサーから物理的に離れる
②ストレス解消に努める
③ストレスと感じないようにする
②は先日紹介したので、今回は③について考えよう。
受診したがよいという点は理解していただけたであろう。
では、自分でできる対処は何か。
先日クライエントが分厚い本を持っていた。
私に見えるように持っていたので、しばらく様子を見ていたが本人から言及されず、こちらから尋ねてみた。
「何を読まれているのですか」
「これ、マインドフルネスなんですけど(中略)全然理解できなくて」
お見せいただくと、マインドフルネス瞑想について数百ページ書かれている本であった。
厚さは10センチ弱ほど。
クライエントは何度も読みながらメモを取り、内容を整理するものの難しくてわからないのだという。
パラりとめくると、マインドフルネス瞑想の効果が繰り返し書かれていた。
「それで、どうやってマインドフルネス瞑想はやるものなのですか」
「それもわからないんです。うまくできないというか…」
実践したが、これでいいのかもわからなくて困っている。
マインドフルネスというものが何かも、読めば読むほどわからなくなってきたそうだ。
マインドフルネス瞑想がゲシュタルト崩壊している。
③の「ストレスと感じないようにする」のために、マインドフルネスは有効である。
ストレスにとらわれている状態に気づき、そして過ぎ去っていく感覚を得るのだ。
認知行動療法では、ストレスと感じる認知の歪みを同定して、認知の変容を目指す。
アドラーに代表される個人心理学では、ストレスと感じているのは自分自身であることを知り克服していく。
これらは、専門家やメンターの指導の下に行うことが求められるものの、自身で勉強して実践していくことも可能である。
他にも医療機関やカウンセリングでは多くの技法を用いてストレスへの認知を変化させ、ストレスと感じないようにしていく。
先述のクライエントには、マインドフルネスとはどのようなものかを説明したのち、瞑想へのアドバイスを行った。
まず、瞑想するには「何も考えない」ことを辞めよう。
これはマインドフルネスやACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)などで順序立ててワークをこなしていくと理解できるのだが、「何も考えない」と強く意識するあまり、「何も考えない」ことを強く考えてしまうのである。
瞑想するには、目を閉じ、まずはボウッとしてみることから始める。
すると視覚が閉ざされているため、聴覚に意識が向くことに気づくだろう。
聞こえてくることに集中しないように、ただ聞こえているだけの状態を目指す。
周りの音を聴こうとせず、聞こえるだけである。
すると突然イメージが沸き起こってくる。
そのイメージに集中すると、睡眠へと移行してしまうので注意しよう。
沸き起こったイメージの意味を考えたり、イメージを追い続けると眠りへと誘われる。
聴覚の時のように、沸き起こったイメージを観るのではなく、ただ見えているという状態を目指そう。
そうすると、見えているものは消えていき何もなくなる。
これがマインドフルネス瞑想である。
わかりにくいだろうか。
般若心経の心と同一と考えよう。
般若心経は何もないことを唱えている。
マインドフルネス瞑想は何もないようになる。
無いことも無い。
これが極意である。
マインドフルネス瞑想はストレスすらないものに出来る。
ストレッサーへのこだわりも、ストレスを感じている自分も、ストレスも、身体的な症状や精神の疲労も、何もない。
もし興味があれば、月輪法(ガチリンホウ)から始めてみるのもおすすめである。
ストレスにさらされている状態は、視野や思考が狭まり、体が固くなる。
専門家に相談するもよし、自力で克服するもよし。
目指すところは克己心である。
マインドフル・ゲーム―60のゲームで 子どもと学ぶ マインドフルネス
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