おむえす

脳に栄養を

社員寮のカーテン

通勤中に、某電気用品チェーン店の社宅前を通過する。

地場の家電量販店として全国進出し、かつては数年にわたり業界ナンバーワンに君臨した有名店である。

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社員寮はそう大きいわけではない。

しかし、一棟だけでは不足だったのか、第二寮が別棟で建っている。

全戸で、40世帯ほどであろうか。

 

空き部屋が多い。

 

半数も入居していないようだ。

カーテンがかかっていない。

 

業界の波による業績の低迷と、店舗型の限界という現代を象徴する衰退だ。

一時期は家電量販店に商品を見に行って、ネットで注文するスタイルが流行った。

しかし、現在ではどうだろう。

比較サイトや、細かな商品レビューを見る方が情報は集めやすい。

量販店の店員に質問しても落胆したことがある経験を持つ方も多いのではないだろうか。

専門家の育成も、これだけの製品数には追い付かなかったのかもしれない。

家電量販店に足を運ぶ機会は激減し、目的も変わってしまった。

量販店がキラーコンテンツを取り戻すためには何が必要だろう。

サービスの質の問題の時代ではない。

ニッチな戦略が必要である。

 

 

一方、しばらく進むと地銀の行員寮がある。

地方限定の銀行で、いわば出張所の社員寮である。

隣県でありながら、そうそう店舗を見ることはない。

しかし、全戸埋まっている。

こちらも40戸ほどだ。

 

銀行の業務は人手がかかるように出来ている。

他人のお金を扱うから当然だ。

しかし、銀行の業務は預金ではない。

預金・融資・為替の三大業務なのである。

この中で、利益を上げるのは融資・為替である。

利息や手数料が銀行の収益であり、現在では保険などの商品も取り扱っている。

銀行ローンにお世話になっている方も多いだろう。

そのような利息や手数料が行員の給与となる。

 

行員の給与は高い。

日々対人業務として心をすり減らしている。

プライドとアイデンティティを持ち仕事に当たる。

カウンセリングをすると鼻持ちならない人物であることが多い。

高給取りは人格を歪める。

 

電子化が進む中、いつまで銀行は大量の人材を抱えていけるのだろうか。

庶民である我々からすると、銀行は預金するところである。

経営者からすると、金貸しである。

困ったときに庶民もローンを組む。

しかし、そこに人間の関与する余地はあとどれだけ残されているのだろう。

審査は必ず人間でないといけない時代はいつまでだろう。

銀行の業務はシステムの管理となっていくと思う。

 

 

銀行の行員寮にカーテンが下がらなくなる日が必ず来る。

 

既存の戦略をいつまで続けていくつもりなのか考えねばならないのではないだろうか。