おむえす

脳に栄養を

確証バイアスの罠にはまらず検証を行う

人間は確証を持ったものを、選択的にピックアップする傾向が強い。

例えば、近所に有名なランチの店があったとしよう。

最近ではすぐにスマホで検索して評判を見ることができる。

某グルメアプリでは☆4であり、訪問ブログなどを読んでも好意的であなた自身も行きたくなるわけだ。

実際行ってみると、数十分の待ち時間を経てランチにたどり着く。

ブログで見たメニューを注文し、おいしいと感じているのではないだろうか。

もし、これがあなたの知らない、もしくは全く検索せずに立ち寄った店であればどうであっただろうか。

まず、数十分並ばねばならないことに抵抗を感じるかもしれない。

提供された料理は特別なものではなく、ランチの一つであり、どうしてこんなにも繁盛しているのか不思議に思うかもしれない。

ここに確証バイアスが少なからず存在している。

グルメアプリでは☆1や2をつけていた人もいただろう。

そこには「待ち時間が長すぎて…」や「スタッフの対応が…」など、否定的な意見もあったはずだ。

しかし、我々は自分が「おいしいに違いない」と思って調べているときは、そのような意見に目を通さなくなってしまう。

自分が得ている確証(=おいしい店だ!)を強化するための情報しか取得しなくなってしまうのである。

 

この認知的なバイアスを確証バイアスと呼び、我々の生活のいたるところに存在している。

もちろん、対人援助をするうえでも確証バイアスが働き、多角的な視点を持てないということが起こっているのである。

カンファレンスなどの場で、ある患者さんについて話しているとき、「あの人はこうだから」や「いつも〇〇ですから」などのワードが飛び出してくることがある。

いつもそうであるから今回もその通りであると断言できるのだろうか。

そもそも、本当にいつもそうであるのかから懐疑的である。

一方、私としては「そうではないかもしれない」という確証のバイアスがかかり、そうでないという証拠集めをしてしまっているのである。

 

では、どのようなことに気を付けていれば、この確証バイアスの罠に陥らずに済むのだろうか。

答えは実に明確なものであり、自分の確証にたいする「反証」を探すことである。

反証が棄却されれば、確証は真であり、反証が認められれば確証は偽となる。

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Photo by Malcolm Lightbody on Unsplash

 

カウンセリングの場で、いくつもの可能性を探求することが必要であることは、何度か記した通りである。

その探求の中に、「これは違うな」という可能性を探すことこそ、反証の検証なのだ。

いつも自分が自信を持った正解だけでなく、違うかもしれないという視点を忘れないことが必要である。

確証バイアスに陥り、持論を強化するのではなく、反証を探し持論を確証に変えていく作業こそ、自分にもクライエントにも大切なことであることを心に留めておこう。

 

 

行動意思決定論―バイアスの罠

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