おむえす

脳に栄養を

いたしませんと言えるほどの力を持っているのか

仕事をしなくなった同僚がいる話をしたかと思う。

 

psycoro.hateblo.jp

 

職場の状況の変化により、他部門への手伝いを依頼したのだが、即答であった。

 

いたしません。

 

医療業界は苦境に立たされている。

特に私の勤務するような単科の所は、診療報酬に影響されやすいことと、精神科という敷居が大きく下がったことにより、患者減であることが深刻なダメージを与える。

 

最小単位でのチーム医療を行っているかつ、人事が嫌いな院長というダブルパンチで、人員不足は慢性的である。

10数年間、週6日勤務を行っていた。

人員が足りないから仕方ない。

今であればブラック企業だとやり玉に挙げられるだろう。

当時は集団療法に心理面接・心理検査とクライエントが多く、週7でも回らないほどであった。

その時に人員増をしてくれなかった。

費用対効果も何度も資料を作り提言したのだが、腰は上がらなかった。

そのころはよく体調を崩していた。

休日は一日寝込んで、勤務になると体調を誤魔化して働く。

いい支援ができていただろうか。

それでも自分のやりたいことと踏ん張った。

年間休日は60日くらい。

本当のブラック企業に比べると多いほうであろうが、すり減っていた。

医療はブラック業界である。

 

真実をいうのであれば、技術向上したい医療職にはブラックである。

 

年間休日のうち、半分以上は学会・研修会がある。

自宅でも専門書を読んだり、論文を書いたりする。

研究職さながらである。

 

そうして、ようやく少し心理援助技術が上がった。

 

そのような職場であることもあり、厳しい条件の新人は来ない。

人事に直接携われなかったので、提言を繰り返すのみであった。

どれだけ却下されても声は上げ続けた。

 

その結果、私の業務が制限された。

 

それから職場は患者減、収益源の道をたどり始めた。

私は年間休日が増えたのだが、その矢先に腕を物理的に折られ障害を負うこととなった。

もうグチャグチャである。

 

今年に入り、ようやく人事権が増えた。

事務職を雇い入れ、同僚の「いたしません」を何度も上伸した。

 

腰が動いた。

 

院長から同僚への一言は、

 

「次のところを探しなさい」

 

であった。

f:id:psycocoro:20181113094908j:plainPhoto by Alex Knight on Unsplash

 

弱腰である。

しかし、この機会を逃すわけにはいかない。

クライエントよりもクライエントと化している同僚は、何もせずクライエントに気を使わせ、集団療法の空気と職場の雰囲気を破壊している。

もう「じゃあ〇〇しない」に悩まされなくて済むようになるかもしれない。

 

結局、同僚は自分で自分を追い詰めた。

 

自分の置かれている状況は多分理解していない。

 

本当に次のところを探さなければいけない状況にあるということがわかっていないだろう。

 

来週は面接を入れた。

私が繰り返し上伸した採用計画が進み始めている結果である。

 

それでも最小単位を守ろうとする院長との対立は続いている。

おそらく厳しい条件下での採用活動となるだろう。

 

本当に適切な医療を提供したい、クライエントのためとなることをしたい。

 

その思いで、今日までやってきている。

明日もそうでありたいし、明後日には今日よりもいい援助を提供する。

 

そういう気持ちをもって、ブラック業界を生き抜いていかねばならない。