公認心理士学習 1-4
今回は学習部分が長くなったために、1-4のみ投稿する。
遅々として進んでいないのはご容赦いただきたい。
1-4-1
公認心理士は十分な教育訓練によって得たスキルを持って、専門的能力の範囲内において援助を行う。
範囲外の事柄についてはリファーしなければならない。
心理療法によって5~10%のクライエントに状態の悪化が生じる。
的確に心理的アセスメントを行い、能力的範囲の内外を判断する。
<注意の標準>
医療における「医療水準」に準じ、特定の情況のもとでの過失の有無を判断する。
専門分野の進歩に伴う新たな知識・技術を習得し、ガイド来や実証的研究の内容折開始、実践上の水準に達すべき義務を負っている。
注意義務である。
<専門的能力>
教育…座学での教育であり、養成機関での講義や演習、卒後研修など
訓練…実地研修
経験…スーパービジョンを受けて得られた実務経験と専門的な経験も含む
どちらも個別具体的な行為に関する判断であり、それぞれの手技手法における専門的能力が求められている。
1-4-2
タラソフ判決とは
1969年10月27日アメリカ合衆国において、P・ボダーは、T・タラソフを殺害するという事件が起きました。ボダーには精神科に通院しており、カルフォルニア大学のコーウェル記念病院のセラピストであるムーア博士の治療を受けていました。事件の2カ月前、ボダーは「ある女性がアメリカに帰国したら銃で撃つ」とムーア博士に述べていました。ボダーは誰かと名前を言いませんでしたが、ムーア博士には、それがタラソフであることが推測できました。ムーア博士は、警察にボダーの身柄を拘束するように要請し、警察は短期間ボダーを拘束しましたが、ボダーが理性的な状態にあるとしてタラソフに接近しないよう約束させ釈放しました。しかし、ボダーは帰国したタラソフの家に行き、彼女を殺害しました。タラソフの危機を知る医療関係者に、彼女やその家族に警告した者はいませんでした。
タラソフの両親は損害賠償請求訴訟を起こしました。ポダーがタラソフを殺害する可能性があることを知りながら、タラソフに知らせなかったことについて、ムーア博士をはじめとする関係者を訴えたのです。一審、二審では両親の訴えは棄却されましたが、カリフォルニア最高裁判所では意見は守秘義務と警告義務の間で意見が分かれたものの、次のような判決を下しました。
「医師や治療者は、患者の状態が他害を及ぼすことが予測される時は、功利主義という観点から守秘義務が免除され、警告義務がある」
これ以降、守秘義務は相対的義務であるという考え方が、医療者に浸透することとなりました。
警告義務は以下の四点に集約される
- 犠牲者となり得る人に対しての警告
- 危険を知らせることができる可能性のある人たち(家族や友人など)に警告
- 警察に通告
- その他、合理的に警告が必要と判断される方法を用いて、いかなる方法をも用いて警告
警告に留まらずに犠牲者となり得る人を積極的に保護する「保護義務」を有する。
これは自傷他害に適用され、自殺も同様である。
心理的アセスメントを行い、明確で切迫した危険が存在するかどうかを判断する。
医師との連携を密にし、危険行為を行う機会と場所を与えないようにする。
心理援助を集中的に行い、援助の明確な記録が必要となる。
1-4-3
相手に対する差別や暴力は決して許されず、相手を見捨てる行為も行ってはならない。
初回面接で的確に心理的アセスメントを行い、必要であれば直ちにリファーを行う。
公認心理士があらゆる理由により不在となるばあいは、要心理援助者と話し合い今後のリファーや終結を判断する。
このような場合に対応するためのマニュアルを各職場で整備しておく。
1-4-4
1人で抱え込まず、連携相手やリファー先を開拓しておく。
スーパービジョンやコンサルテーションを得る。
クライエントが情報提供に同意し、連携先を選択できるよう、インフォームド・チョイスを心がける。
今日覚えておくこと
専門能力の範囲内で援助
能力外の事象はクライエントの同意と選択を得てリファーする
心理援助によってクライエントの状態悪化が起こることがある(5~10%)
自傷他害の恐れのあるときには、警告義務および保護義務が、クライエントおよび関係者に対し発生する
援助の際には必ず明確な記録を残す