おむえす

脳に栄養を

神経発達障害群の成長に見る社会生活の障害

神経発達障害群の中で、旧来アスペルガー障害と呼ばれていた疾患がある。

アスペルガー障害はドラマや映画での啓もう及び、KYブームの中で広く知れ渡っているだろう。

社会性の障害としてとらえると理解しやすい。

アスペルガーの心性としては、強いこだわりや場の状況を読めないことなど、他者理解に問題がある。

しかし、これだけで本人が困ることは少ない。

社会集団に属するときに問題が露見する。

社会構成員として生活をすると、他のマジョリティーと馴染めないのである。

結果として、マジョリティーを対象にした業務や協調の世界から迫害を受けやすく、精神症状を惹起したり、社会生活に不適応を起こしたりする。

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眠れないという症状

高齢のクライエントが眠れないという訴えをされる。

布団に入ってから6時間ほど眠れずに布団で悶えているらしい。

 

その方は軽度の認知症があり、パーキソニズムでお口をいつももごもごされていらっしゃる。

パーキンソン病ではないので、精神病薬の副作用なのか認知症にともなう症状なのか判断はつきにくいのだが、本人はモゴモゴしている自覚はない。

会話の疎通性はたもたれているので、直接お聞きするのだが、もごもごに関しては

「入れ歯があわねぇんだよ」

とのお答えなので、いよいよ症状なのかどうかも怪しくなってきている。

 

クライエントの認知症の症状は物忘れが主体であり、思い出せなくてイライラするとのこと。

そもそも、双極性障害を患っていてる方であったため、認知症の出現は双極性障害が起因しているのかもしれない。

最近の話題は「眠れないこと」であるのは間違いない。

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小さい子供に対しての家庭で行うSST

保育園や幼稚園の子共が園児同士のトラブルを起こして、園からの注意を受けることがある。

母親は心底悩み、時に涙を流す。

さて、このような時に子供に対して、どのようなしつけや反省を促したらいいのだろうか。

 

認知行動療法の一つにSSTが存在する。

SST(社会生活技能訓練)は、学習理論を基にしシェマの獲得を目指している。

①場面の設定、②問題解決、③ロールプレイ、④フィードバック、⑤リラン、⑥フィードバック、⑦ホームワーク、⑧報告といった順序で実施する。

集団で行ったほうが効果が高いのであるが、今回は一対一での過程で行うSSTを紹介したい。

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自閉症スペクトラムの学生に対する援助で気を付けたいこと

自閉症スペクトラム障害の学生の相談は、どのような傾向があるだろうか。

f:id:psycocoro:20181129095027j:plainPhoto by Nik Shuliahin on Unsplash

 

カウンセリングでは高校生が学校生活や学業の問題で相談に来る。

友人関係がうまく築けないことでの相談はアスペルガー症候群の女性が多い。

素行問題での相談が多いのは、アスペルガー症候群の男子学生である。

学業不振では男性が多く、ADHD傾向が高い。

 

限局性学習症(かつての学習障害)で相談に来られる高校生はほとんど出会わない。

 

大学生になると、主に学業不振が主訴となる男性のケースがほとんどである。

この場合はADHD自閉症スペクトラムでは多くなる。

女性で進学問題を抱えている場合は別疾患であることが主である。

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統合失調症のサポートに家族が重要だった事例

陽性症状の強かったクライエントが、昨日挨拶に来られた。

 

「お世話になってました。もう今日で終わりになりました」

 

どうやら診療が終結したようだ。

 

クライエントはC子(40代)である。

20代で発症し、注察妄想や幻聴・幻視に悩まされ入院となる。

統合失調症の診断がつき、入院加療を経て自宅静養していた。

症状改善がそれ以上望めないので、転院を決意し当院を受診した。

 

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苦しみに触れていなかった

以前、解離症状が手指に出ており、物がうまく扱えないクライエント(A美)がいた。

 

A美は統合失調症の40代であり、入院歴がある。

破瓜型であり陽性症状が強かったが、初期対応が良かったことと家庭のサポートが篤かったこともあり、外来治療にすぐに遷移できた。

 

遅くに出来た子らしく、両親は老いており妹は結婚し遠方で生活を送っていた。

自虐的な幻聴と恋愛妄想が増悪時には見られるが、薬物治療で軽快する。

 

当時、手指に起こっている解離症状は、本人の病気や現状に対する忸怩たる思いの現れであろうと考えていた。

 

最近、信頼している先輩とA美の症例について話す機会があった。

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子供が年下のクラスに行かされたという話

保育園に通う子供が、ずいぶん下の年齢のクラスに入れられたらしい。

 

どういうことかというと、言うことを聞かなかったので、未就学児のクラスに行かされたとのこと。

 

確かに落ち着きがないのと、熱中すると周囲の声は届かないタイプの子供ではある。

家庭であれば注意を促すことで切り替えはできる。

 

自閉症スペクトラムかというと、判断が難しい部類である。

他者共感能力は高く、こだわりの強さや限局した興味などは少なく、アスペルガー症候群ではないであろう。

ADHD傾向で考えると、まあ確かに落ち着きがなく静止が難しい時はある。

片付けが苦手であるとこもチェックポイントである。

それ以外に大きい問題や行動面情緒面での障害は見受けられない。

 

そのような子供なのだが、クラスでは扱いづらいと認識されているようだ。

 

切り替えができないことが多く、集団の中で注視したり不適切な行動を続けることがあるのだ。

 

当日、子供は教室の机の下に潜っていたらしい。

それで未就学児のクラスに行かされたということだ。

f:id:psycocoro:20181119161002j:plainPhoto by Danielle MacInnes on Unsplash

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