エビリファイがデジタルメディスンに
モーニングビジネスサテライトで気になるニュースがあった。
エビリファイは抗精神病薬の一つで、主に統合失調症の治療に用いられるが、興奮や鎮静に対しても効果が高いため、ADHDやうつ病の治療にも積極的に用いられている。
主な機制としては、神経伝達物質のドパミンなどの受容体に作用し、整えるものである。
https://www.otsuka-elibrary.jp/di/prod/image/detail/abc
今年の6月からはジェネリック医薬品が登場することとなった。
つまり歴史のある薬であり、効果も認められている。
抗精神薬は人によって向き不向きがあり、副作用に苦しめられることもある。
エビリファイは第二世代(非定型)と呼ばれる比較的副作用の少ない薬である。
実際によく聞く副作用としては、落ち着かない感覚(ソワソワする)や、眠気が取れないなどだ。
また、太りやすくなったという話も聞くことがある。
副作用には個人差があるので、気になる方は主治医とよく相談されたい。
さて、そのエビリファイだが、今年の5月にこのようなプレスリリースが出ていたようだ。
今回のニュースはエビリファイにセンサーを埋め込み、服薬管理が出来るというものが、アメリカにおいて認証されたのである。
エビリファイマイサイトという薬品になるのだが、内部に入ったセンサーが胃液に触れると信号を発し、身体に張り付けたマイサイトパッチで受診することで服薬の日時がわかるのだ。
さて、なぜこのような機能が必要なのだろうか。
服薬コンプライアンスというものがある。
決められた薬を決められた時間に飲むということは、精神薬にとって不可欠なのだ。
もしこれが崩れてしまうと、体内の薬効成分に変化が起こり、効果が出なかったり、副作用が強く出たりするのである。
また、精神症状や認知の問題により、服薬忘れということが起こりやすいのである。
服薬の自己管理をする患者さんにとっては、飲んだ後も飲んだかどうか不安になる事は頻繁なのである。
このような機能があれば、不安は解消し定期的な服薬が可能になるのだ。
では、問題点はどこにあるかというと、本人の同意によるが医療者や家族が服薬情報を取得することができるのだ。
服薬は治療には必要なものである。
しかし、エビリファイの服薬が生命の危機に直結しているかと言うとそうではない。
服薬の自由が患者さんには存在しているわけだ。
このようなプライバシーと倫理の整備が日本での認可においては必要となるだろう。
最も、一医療者としてはこのような管理をしてでも服薬コンプライアンスを構築し、症状に苦しめられないことを願っていることを付記しておく。