ナースの資質
入院10日目。
痛みはかなり落ち着いてきたので、今日退院できるだろう。
というか、昼までに職場に行かなければいけない状況である。
退院できなければ強行外出である。
担当してくれている看護師が、とても能力が高い。
能力といっても、看護技術ではない。
一つ一つの対応能力である。
精神科で重要なのは、場面においてどのような発言をするかである。
言動全てには意味があり、それを解釈し、何と返していくのかである。
正解はなく、マニュアルのない世界で、目の前のクライエントに合わせて探求していく世界である。
「眠れない」と訴えるクライエントの背景は何であろうか。
痛みがあるのか、興奮しているのか、寂しいのか、不安があるのか、生活リズムの問題なのか、など枚挙にいとまがない。
担当の看護師は、この部分がうまいのか、天性のものなのか、心がホッとする一言を出してくれる。
10日間で十数人の看護師と会った。
静かに過ごしているのだが、印象に残るのは彼女だけである。
何かを頼むとき、バイタルチェックの時、予定の確認。
いつでも誰にでも優しく、よい対応をしている。
診療科が違うが、ぜひ同僚として欲しい人材である。
欠点は少々色気が強いことだろう。