眠れないという症状
高齢のクライエントが眠れないという訴えをされる。
布団に入ってから6時間ほど眠れずに布団で悶えているらしい。
その方は軽度の認知症があり、パーキソニズムでお口をいつももごもごされていらっしゃる。
パーキンソン病ではないので、精神病薬の副作用なのか認知症にともなう症状なのか判断はつきにくいのだが、本人はモゴモゴしている自覚はない。
会話の疎通性はたもたれているので、直接お聞きするのだが、もごもごに関しては
「入れ歯があわねぇんだよ」
とのお答えなので、いよいよ症状なのかどうかも怪しくなってきている。
クライエントの認知症の症状は物忘れが主体であり、思い出せなくてイライラするとのこと。
そもそも、双極性障害を患っていてる方であったため、認知症の出現は双極性障害が起因しているのかもしれない。
最近の話題は「眠れないこと」であるのは間違いない。
続きを読む精神医療における公認心理師の展望と現状
精神医療の世界において公認心理士はどのような役割を担っていくのか。
現在の社会保障費を考えると、医療費の圧縮は止む無しである。
もちろん聖域とされていた精神医療にメスが入ることにもなっている。
医療は在宅へとのシフトが余儀なくされている昨今、社会情勢は医療から福祉へとシフトしていきたい。
しかし、障害者総合支援法における福祉サービスの欠点は、専門家の不在とバラマキ施策による不正受給を行う施設の急増と相成った。
また、医療は精神障害において欠かせないものである以上、脱医療となるのは難しいのではないだろうか。
非常に安定しているクライエントが、糖代謝の問題でジプレキサの使用ができなくなった。
そのため、代替薬へと変更したところ増悪してしまった。
ジプレキサはごく低用量で投薬していたのだが、代替薬を同じような機制を狙ってしようしたものの、当該クライエントには馴染まなかったのである。
新年より就労支援を開始する予定であったのだが、少し様子を見る必要が生じてしまった。
最終的にはルーランぶよって落ち着きを取り戻したのだが、二週間は薬効を注意して見ていかねばならない状態である。
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自閉症スペクトラムの学生に対する援助で気を付けたいこと
自閉症スペクトラム障害の学生の相談は、どのような傾向があるだろうか。
Photo by Nik Shuliahin on Unsplash
カウンセリングでは高校生が学校生活や学業の問題で相談に来る。
友人関係がうまく築けないことでの相談はアスペルガー症候群の女性が多い。
素行問題での相談が多いのは、アスペルガー症候群の男子学生である。
学業不振では男性が多く、ADHD傾向が高い。
限局性学習症(かつての学習障害)で相談に来られる高校生はほとんど出会わない。
大学生になると、主に学業不振が主訴となる男性のケースがほとんどである。
女性で進学問題を抱えている場合は別疾患であることが主である。
続きを読む心理士の緊急支援で求められるもの
公認心理士試験では、緊急支援や災害支援などが多く問題に出された。
求められる役割である、国民の心の健康の保持増進とは、このような支援が大きな柱となるように考えられる。
古来より日本は災害の多い地形である。
地理学的にも災害を引き起こしやすい。
防げるものがあれば防げないものもある。
このような災害が起こった時に、現臨床心理士会はチーム派遣を行っている。
2000年前後よりこのような災害支援への体制づくりが進められ、臨床心理士という専門性を生かしていかなる支援ができるのか模索しながら歩んできた。
学校心理では様々な事由により、生徒の心理的危機に対する緊急支援が求められる。
同じく臨床心理士会は学校にいる外部組織としての役割を最大限活かすとともに、専門性を用いて生徒への心理的介入を行ってきた。
続きを読むWAIS-Ⅲで群指数間の差が大きいがIQに優位差が無い場合
成人式ウェクスラーはWAIS-Ⅲが標準である。
直近で実施した検査から解釈の一助をお送りする。
まずは結果から(一部改変)。
FIQ=79 VIQ=85 PIQ=76
発達上の問題はなく、内容分析においても自閉症スペクトラム障害は否定される。
群指数は、
VC=76 PO=70 WM=107 PS=102
優位差が大きい。しかし、見てのとおり言語性と動作性それぞれに高低があり、IQ間の優位差が出なかったということである。
さて、このようなクライエントの所見はどのようになるだろうか。
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