おむえす

脳に栄養を

神経発達障害群の成長に見る社会生活の障害

神経発達障害群の中で、旧来アスペルガー障害と呼ばれていた疾患がある。

アスペルガー障害はドラマや映画での啓もう及び、KYブームの中で広く知れ渡っているだろう。

社会性の障害としてとらえると理解しやすい。

アスペルガーの心性としては、強いこだわりや場の状況を読めないことなど、他者理解に問題がある。

しかし、これだけで本人が困ることは少ない。

社会集団に属するときに問題が露見する。

社会構成員として生活をすると、他のマジョリティーと馴染めないのである。

結果として、マジョリティーを対象にした業務や協調の世界から迫害を受けやすく、精神症状を惹起したり、社会生活に不適応を起こしたりする。

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いつも心にパラソルを

パラソルと言いつつもアンブレラの話。

 

冬の雨は鬱屈としている。

雪になりそうな予感もする冷えた雨。

どんよりと重く、薄暗い。

 

そんな中、小さな折りたたみ傘を開いて最寄駅から職場へ向かう。

 

目の前には同じように冷たい雨に身を小さくして歩く勤め人達。

 

真っ黒なスーツに真っ黒な雨傘。

同じようなレインブーツに透明のビニール傘。

 

小学生は冬の朝でも楽しそうに傘をさしている。

パステルカラーの傘が上下に踊っている。

 

私の傘を見上げると、少しくたびれてはいるが、水色の小さな折りたたみ傘に、ウサギが遊んでいる。

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復職プログラムの実際

リワーク支援を実施している。

地域の精神科であるため、旧来より復職へ向けての援助は多い。

集団療法を活用しながら、クライエントに合わせた計画を組んでいく。

 

内容は軽作業を中心とし、認知機能への働きかけを目的とした活動内容となる。

ラクゼーションや余暇活動なども挟みながら復職となっていくという具合である。

 

期間はクライエントの状態と、企業の受け入れ態勢によって違うが、短くて2週間であり、最長2年の方もいらっしゃった。

平均すると3か月以内には復職されることが多い。

大々的にアナウンスをしているわけではないので、年間10名ほどの支援となる。

 

支援に乗れる方はしっかり復職される。

一方、リワークプログラムを策定したものの、参加されない方が2割ほど存在する。

簡単な話、このリワーク活動に参加できない方は、予後が悪い。

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眠れないという症状

高齢のクライエントが眠れないという訴えをされる。

布団に入ってから6時間ほど眠れずに布団で悶えているらしい。

 

その方は軽度の認知症があり、パーキソニズムでお口をいつももごもごされていらっしゃる。

パーキンソン病ではないので、精神病薬の副作用なのか認知症にともなう症状なのか判断はつきにくいのだが、本人はモゴモゴしている自覚はない。

会話の疎通性はたもたれているので、直接お聞きするのだが、もごもごに関しては

「入れ歯があわねぇんだよ」

とのお答えなので、いよいよ症状なのかどうかも怪しくなってきている。

 

クライエントの認知症の症状は物忘れが主体であり、思い出せなくてイライラするとのこと。

そもそも、双極性障害を患っていてる方であったため、認知症の出現は双極性障害が起因しているのかもしれない。

最近の話題は「眠れないこと」であるのは間違いない。

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小さい子供に対しての家庭で行うSST

保育園や幼稚園の子共が園児同士のトラブルを起こして、園からの注意を受けることがある。

母親は心底悩み、時に涙を流す。

さて、このような時に子供に対して、どのようなしつけや反省を促したらいいのだろうか。

 

認知行動療法の一つにSSTが存在する。

SST(社会生活技能訓練)は、学習理論を基にしシェマの獲得を目指している。

①場面の設定、②問題解決、③ロールプレイ、④フィードバック、⑤リラン、⑥フィードバック、⑦ホームワーク、⑧報告といった順序で実施する。

集団で行ったほうが効果が高いのであるが、今回は一対一での過程で行うSSTを紹介したい。

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精神医療における公認心理師の展望と現状

精神医療の世界において公認心理士はどのような役割を担っていくのか。

 

現在の社会保障費を考えると、医療費の圧縮は止む無しである。

もちろん聖域とされていた精神医療にメスが入ることにもなっている。

医療は在宅へとのシフトが余儀なくされている昨今、社会情勢は医療から福祉へとシフトしていきたい。

しかし、障害者総合支援法における福祉サービスの欠点は、専門家の不在とバラマキ施策による不正受給を行う施設の急増と相成った。

また、医療は精神障害において欠かせないものである以上、脱医療となるのは難しいのではないだろうか。

 

非常に安定しているクライエントが、糖代謝の問題でジプレキサの使用ができなくなった。

そのため、代替薬へと変更したところ増悪してしまった。

ジプレキサはごく低用量で投薬していたのだが、代替薬を同じような機制を狙ってしようしたものの、当該クライエントには馴染まなかったのである。

新年より就労支援を開始する予定であったのだが、少し様子を見る必要が生じてしまった。

最終的にはルーランぶよって落ち着きを取り戻したのだが、二週間は薬効を注意して見ていかねばならない状態である。

 

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自閉症スペクトラムの学生に対する援助で気を付けたいこと

自閉症スペクトラム障害の学生の相談は、どのような傾向があるだろうか。

f:id:psycocoro:20181129095027j:plainPhoto by Nik Shuliahin on Unsplash

 

カウンセリングでは高校生が学校生活や学業の問題で相談に来る。

友人関係がうまく築けないことでの相談はアスペルガー症候群の女性が多い。

素行問題での相談が多いのは、アスペルガー症候群の男子学生である。

学業不振では男性が多く、ADHD傾向が高い。

 

限局性学習症(かつての学習障害)で相談に来られる高校生はほとんど出会わない。

 

大学生になると、主に学業不振が主訴となる男性のケースがほとんどである。

この場合はADHD自閉症スペクトラムでは多くなる。

女性で進学問題を抱えている場合は別疾患であることが主である。

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