飲み会は心理的技術の披露の場である
心理的援助で重要なのは、クライエントの心的事実を受け止めることである。
求められる姿勢は傾聴であり、その訴えの奥底にある心を推察していく。
ある時、指導者に精神科は芸の世界であるといわれた。
様々な技を用いて芸を行うのであるという。
技は各領域における技術であり、例えば認知行動療法や精神分析などがそれにあたる。
芸はその実践の場であり、クライエントとの関りで惜しみなく活用していくということになる。
我々は技を磨き、クライエントをある意味において幸福に導いていかねばならない。
心的事実はクライエントがそう感じているという事実であり、客観的事実との齟齬が生じていることは少なくない。
クライエントがその訴えをもって相談に来たことを労い、傾聴しファンタジーを創っていく。
ファンタジーの世界が構築されたときに、初めて客観的事実や心的事実の展開が行えるのである。
急な飲み会が入ることがある。
同僚というヒエラルキーの無い世界であれば、好きなまま飲んでよいと思うのだが、上司などと飲む場合には、上司に対して芸を行うことをおすすめする。
そもそも急な飲み会ということが何かしらの上司からの訴えであり、飲み会の場は上司の心的事実によって構築されている。
その事実をあの手この手の技を使いファンタジーを創り上げていく。
上司が上機嫌になれば、芸の披露ができたということである。
それからようやく自分の話や、飲み会の真意などに触れていくことができるのである。
上司との飲み会は楽しむという側面に力を入れず、楽しませることを意識し、自分の持つ芸を披露する格好の機会と捉えておこう。