復職プログラムの実際
リワーク支援を実施している。
地域の精神科であるため、旧来より復職へ向けての援助は多い。
集団療法を活用しながら、クライエントに合わせた計画を組んでいく。
内容は軽作業を中心とし、認知機能への働きかけを目的とした活動内容となる。
リラクゼーションや余暇活動なども挟みながら復職となっていくという具合である。
期間はクライエントの状態と、企業の受け入れ態勢によって違うが、短くて2週間であり、最長2年の方もいらっしゃった。
平均すると3か月以内には復職されることが多い。
大々的にアナウンスをしているわけではないので、年間10名ほどの支援となる。
支援に乗れる方はしっかり復職される。
一方、リワークプログラムを策定したものの、参加されない方が2割ほど存在する。
簡単な話、このリワーク活動に参加できない方は、予後が悪い。
休職に至る経緯は、概ね感情障害か発達障害である。
現在の診断基準で言うと、双極性障害および関連障害群・抑うつ症候群・神経発達症群が8割だ。
近年は神経発達症群が多く、いわゆる発達障害や知的障害が原因で職場内不適応を起こす方が多い。
リワークにおいては、職場復帰を念頭に置き、集団内での生活や軽作業の実施を行う。
内容は簡単なものばかりなので、現場から休職している方にとっては生ぬるいと感じられることが少なくない。
それでも、その生ぬるい作業をしっかりとこなせるかというのは、リワークにおける一つの評価点である。
また、リズムづくりとしての役割も欠かせない。
心理査定において、特徴や問題点は見えているので、個人に合わせた目的を設定する。
課題遂行機能に問題があれば、作業の見通しを行うことが必要であるし、職場内の人間関係に疲れた方には対人関係のリハビリと認知の変容が必要になる。
こうして、数か月のリワークを経て復職となる方は、その後は苦労しながらも適応していくことになる。
初回から、または数回の利用でリワークプログラムを見限る方もいる。
自分には必要ないと思った、内容が合わない、他の方法を自分でやるなどだ。
医師の指示ではあるのだが、どうしても施設的感覚にとらえられてしまうことがあり、丁寧な導入が必要になる。
なぜ、必要なのか、どのような効果があるのか、リワークプログラムの実績など踏まえつつ導入を行う。
それでもリワークを利用しないという決断をするのであれば、本人の自由意思を尊重する。
結果、休職は長引き、復職後に再度休職や退職となる。
このような点から予後が悪いと断じているのだ。
もちろん、すべての休職者にリワークが必要なわけではない。
リワークが必要だと医師が診断し、医療機関が全体としておすすめした方は、やはりリワークプログラムが必要なのだ。
最初は嫌々である。
しかし、うまくいく方はリワークが楽しくなり、惜しみながら、そして他の利用者に惜しまれながら復職していくものである。
我々も、最大限の効果が出るよう真摯な支援を行う。
もし、休職してリワークが必要と判断される場合は、このように専門機関が提供するリワークプログラムを利用していただきたい。
最近では企業からの依頼も増えているため、効果はお墨付きなのである。