子供が年下のクラスに行かされたという話
保育園に通う子供が、ずいぶん下の年齢のクラスに入れられたらしい。
どういうことかというと、言うことを聞かなかったので、未就学児のクラスに行かされたとのこと。
確かに落ち着きがないのと、熱中すると周囲の声は届かないタイプの子供ではある。
家庭であれば注意を促すことで切り替えはできる。
自閉症スペクトラムかというと、判断が難しい部類である。
他者共感能力は高く、こだわりの強さや限局した興味などは少なく、アスペルガー症候群ではないであろう。
ADHD傾向で考えると、まあ確かに落ち着きがなく静止が難しい時はある。
片付けが苦手であるとこもチェックポイントである。
それ以外に大きい問題や行動面情緒面での障害は見受けられない。
そのような子供なのだが、クラスでは扱いづらいと認識されているようだ。
切り替えができないことが多く、集団の中で注視したり不適切な行動を続けることがあるのだ。
当日、子供は教室の机の下に潜っていたらしい。
それで未就学児のクラスに行かされたということだ。
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子供に話を聞いてみた。
「どうして〇組さんのクラスに行くことになったの?」
「わからん」
質問を変える。
「何をしていた時に〇組さんクラスに行ったのかな」
「机の下にいたとき」
「机の下はダメって言われたのかな」
「きこえてなかったんだよ」
『聴こえていなかった』ことが問題となったようだ。
保育士は聞かなかったと思ったのかもしれない。
「〇組さんに行って、どんな気持ちだったかな」
「すっごい楽しかったよ!」
恥ずかしい思いや悲しみを感じたのかもしれないと思っていたが、杞憂だったようだ。
さて、机の下についてもう少し明らかにしたい。
「どうして机の下にいたのかな」
「A君がたたかいごっこしてくるのが嫌で、机の下にいたんだよ」
子供の胸には青あざができていた。
「これは打ったのかな」
「A君にキックされたんだよ、それで先生に言って冷やしてもらった」
何となく全貌がわかってきた。
本人曰く、A君がたたかいごっこをしてきて蹴られたため机の下に避難した。
すると先生は机の下から出るように注意をしたが、聞こえておらず机の下から出なかったため、〇組さんのクラスに行かされた。ということである。
真実はもう少し違うのかもしれないが、心的事実と保育園からの報告を聞く限り大きく間違ってはいないと思う。
「今度同じようなことがあったらどうしたらいいかな」
「しないでって言う」
「そうだね、嫌なことはちゃんと伝えよう。練習してみるよ」
すぐにSSTを行う。
「先生にも自分で言えるかな」
「いえる」
「練習してみよう」
これで、今回の件の子供へのサポートは良しとしておく。
さてさて、年下のクラスに入れることは正しいのだろうか。
これは管理の問題である。
保育園からの説明では「落ち着かせるために」未就学児のクラスに行かせたということだ。
つまりは、タイムアウト法を行ったとの主張である。
保護者としては、A君に蹴られた上で未就学クラスに行かされるとは、不憫で仕方がない。
蹴られることなど全く問題でない。
青あざなんて家に居てもできることはある。
それは友達と遊ぶ中で起きたことなら、それも一つの経験である。
注意を聞いていなくて怒られてもいい。
そうして学んでいく。
しかし、未就学児のクラスに行かせるというのは罰以外の何物でもない。
考えてみてほしい、歳下の段階が違うクラスに行くということは中学3年生だが教師のいうことを聞いていないため、小学6年生のクラスに行って授業を受けるということだ。
そして、周りはそれを見ている。
あの子は年下のクラスに行かされるような子と認識される。
会社で言えば、三年目の社員がミスをしたからと、新人研修に参加しているようなものだ。
このことを保育園に言いたかったのだが、母親から止められた。
そういうことで問題を大きくしないでほしいと。
保育園での処遇が悪くなるからと。
ある種のアカハラである。
タイムアウト法を正しく用いることもできていない。
何が悪かったのか、何が問題でどう解決したらいいのかフォローもない。
フォローが無いから学ぶことも無い。
ただ、悪いことをしたから行かされたというだけだ。
これは保護者面談の時にしっかり伝えていくことにする。
管理ができないから外に追い出しただけである。
罰を与えたことに相違ない。
後日蹴られたことは保育園では把握しておらず、本人たちに確認したところ蹴った事実があり、相手の保護者に伝えたとの連絡を受けた。
相手の保護者から誤ってもらう必要なんて一切ない。
深刻なダメージを受けたわけではなく、遊びの中で起こったことだからだ。
それよりも、そのような事実を見逃して罰だけ与えたことを熟考してほしいのだ。