算数ができなくなっていた話
認知症で苦しんでいるクライエントとの一幕。
最近のご様子をお聞きすると、算数の問題をしているらしい。
持参しているとのことで見せていただいた。
小学校6年生の算数。
そして、ここがわからないんだよね、と示された問題がこれ。
この問題をできるだけ早くエレガントに解いていただきたい。
実はクライエントは、地域ナンバーワンの進学校卒業である。
中学レベルならばいざ知らず、クライエントが解けないとなると、認知症の進行や機能低下を疑わずにいられない。
戦後間もない日本でMARCHに通っている。
私は家庭教師の経験が豊富である。
小学生の算数は繰り返し何度も教えてきたので、なんら問題がない。
説明を交えながらエレガントに素早く解答した。
間違えた。
あれ?
これって整数を分数に直さないと掛け算してはダメなんだっけ…
要領よく解答しようとして、余計にややこしくなるパターンである。
クライエントからはにっこりされ、「小学校に入りなおさないとだね」とお声かけいただいた。
なので、「一緒に入りましょうかね」とお返ししておいた。
というわけで再びチャレンジ。
まあ、解けてしまえば難しい問題ではない。
それなのに、パッと解答できなかったことに驚く。
認知の低下が起こっているのは自分ではないのだろうか。
恐ろしい。