サイコパスが経営者に向く理由
クライエントが「悪の教典」を読んでいた。
私の悪の教典の印象はこうである。
「エログロでしたよね」
読了したのは数年前だったので、大まかな内容しか覚えていないのだが、イメージは強烈に残っている。
ちなみに映画は観ていない。
すると、クライエントは文庫を閉じこう答えた。
「社長って結構な割合でサイコパスの人が多いらしいっすね」
さもありなん。
トップに立つ人間のサイコパス傾向や自閉症スペクトラム傾向は高い。
視点を変えてみよう。
サイコパスや自閉症スペクトラムに偏っている方々の能力が高い。
ここでいうサイコパスは医学的診断におけるアンチソーシャル、つまり反社会性人格障害とはやや意味合いが違うことを留意したい。
しかし、俗語的なサイコパスはカナダの犯罪心理学者ロバート・D・ヘアによる「サイコパシー・チェックリスト(PCL)」が最も理解しやすい。
サイコパシー・チェックリスト改訂版では
1. 口達者/表面的な魅力 | 11. 放逸な性行動 |
2. 誇大的な自己価値観 | 12. 幼少期の問題行動 |
3. 刺激を求める/退屈しやすい | 13. 現実的・長期的な目標の欠如 |
4. 病的な虚言 | 14. 衝動的 |
5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る) | 15. 無責任 |
6. 良心の呵責・罪悪感の欠如 | 16. 自分の行動に対して責任が取れない |
7. 浅薄な感情 | 17. 数多くの婚姻関係 |
8. 冷淡で共感性の欠如 | 18. 少年非行 |
9. 寄生的生活様式 | 19. 仮釈放の取消 |
10. 行動のコントロールができない | 20. 多種多様な犯罪歴 |
がサイコパスの特徴として項目に上がっている。
では、このような項目がいかに社長として役に立つのだろうか。
社長は孤独で夢見がちである必要がある。
行動力があり、他者の意見に惑わされず、周囲から理解を得られないような夢物語を実現していく。
この能力が業務に向けば、成功を収める人物が少なからず誕生するわけである。
サイコパスが社長ー経営者に向いているのか、それとも成功した経営者にサイコパス傾向が高いのかは難しい判断であるが、我らの様な凡人にはとうてい理解できない思考と行動原理を持っているのだ。
経営者に必要な能力のひとつに人事力が求められる。
これは良い人間を集めたり、人事マネージメントが卓越していること以上に、不必要な人材を見限ることができるかどうかである。
さもすれば、我々は情と体面により、企業に不利益をもたらす人材を擁護し人的負債を抱えたまま存続しようとする。
それは企業を弱体化させ、重要な決断がリスキーになるウィルスとなるのだ。
サイコパスはいわゆる良心が欠如している。
その場限りの感情で行動できる。
周囲から見れば「冷淡」に退職勧告を行える。
企業を成長させる重要な能力である。
経営者は偽らねばならい。
業績を、商談を、成長性を。
偽ることは本人の中では理論的に正しい事であり、偽っているとすら感じていない。
虚言であるが、それが実現すれば真となる。
他者操作性が高いため、実現させるためにはあらゆる手を尽くすことができる。
サイコパスは欲を満たすための努力を惜しまない。
恐ろしいと感じるだろうか。
それとも、すばらしいと感じるだろうか。
経営者としての能力は高い。
個人的な体験から助言を述べておくと、サイコパス傾向の人間と付き合いを続けることはやめておいたほうが良い。
情緒的交流は、ある日突然終わりを迎える。
サイコパスは魅力的な人間に見える。
私達が成し得ない感覚を持ち行動を起こすことができるからだ。
しかし、決して分かり合うことはできない。
利用価値が判断基準である。
利用価値が無くなれば、我らの様な凡人はサイコパスの邪魔をする不要で不快な人間と認識され、情などなくあらゆる手を尽くし処分されるのだ。
- 作者: ロバートD.ヘア,Robert D. Hare,小林宏明
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/04
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (1件) を見る