リワークプログラムの展開
復職グループ(リワークプログラム)を実施している。
そのプログラムの一つに、心理の実習生と共に行う認知行動療法がある。
従来SST(社会生活技能訓練)を行っていたのだが、対象者を選定して論理的思考を身に着けるワークを本年度から展開している。
一つはティナ・シーリグ著の「20歳のときにしっておきたかったこと」を基にし、ブレインストーミングの訓練を行った。
アイデアを自由に浮かべる事を三ヶ月かけて訓練した。
例えば、身の回りにある無関係なもの二つを組み合わせて、新しい商品を作ったり、あるカテゴリーの商品(サンダルなど)の価値を高めるための商品戦略を行ったりした。
ブレインストーミングの技術は向上し、自由なアイデアが生まれるようになった。
グループワークの終着点は、原資をもとに利益を最大限生み出すというワークであったのだが、ちょうどその期間に一回目の入院をしてしまい、ワークは完遂できなかった。
参加者に対して申し訳なく思う。
さて、このグループワークでは社会復帰に関する問題点を、社会的不安にあると想定し、社会的不安についての調査を行っていた。
クール終了時の得点の変化率を測定したのだが、不安が増大するものと、不安が減少した者はちょうど半数に分かれた。
考え方としては、社会というモノに対して現実的に検討できたために不安が増大したと考えられる。
また、現実感がさらなる社会的不安を引き起こしたとも考えられる。
不安が低減したグループはその後、就職活動に移行できたため、一程度の効果はあったと考えてよいのだろう。
しかし、学術的には失敗例として報告される。
ブレインストーミングで不安の解消は難しいということである。
この結果を踏まえ、現在は自己認識についてのワークを始めている。
復職に向けて、自己効力感や自己肯定感を高めることが狙いである。
精神科に通われる方には、自己に対する価値の低下が起こっている方が多い。
特にうつ病の方は症状として無価値であると誤認識してしまう。
自己効力感を上げるためには、正しい自己認識や気づきを得ることが重要となる。
最初のステップとして、他者への認識を持つ訓練を行う。
SSTで言えば、他者へ対するプラスフィードバック(いいところ探し)である。
順調に進んでいるため、入院中は実習生に運営してもらい、退院後自己評価の向上に向けてプログラムを展開していきたい。