エンデル・タルヴィングによるエピソード記憶
朝晩の風が涼しくなり、時に明け方凍えるほど体が冷えてしまっている。
かつてこのような夜風の明朝に、バスフィッシングをしていた。
日中気温が上がることを見越して、秋の装いをしてロッドを振っていたものだ。
水温は気温よりも暖かく、明るくなるにつれジワジワともやが立ち込めてくる。
やおら水面がにぎやかになり始め、一匹のバスと出会う時間が近づいてくる。
このように、何かをきっかけに記憶が蘇ることはないだろうか。
カナダの心理学者エンデル・タルヴィングはこのような記憶を「エピソード記憶」となづけた。
記憶にはいくつかの手続きが行わる。
まず記憶となる刺激が存在する。
記憶に記銘するするところから記憶は始まる。
続いて記憶の保管が行われる。
そして記憶の想起だ。
覚えて、思い出すまでの簡単な過程である。
想い出し方はいろいろあるのだが、エピソード記憶はまるで時間旅行をしているかのように想い出すのだ。
意味記憶というものは、事実や知識をそのまま貯蔵している。
これに対して、エピソード記憶は出来事と思い出を貯蔵していると考えた。
タルヴィングはのは情報を長期記憶するために、コード化され貯蔵されており、感覚的な刺激により記憶の再生が起こり想起すると定義した。
これを「特性コード化原理」と呼んだ。
例えばフラッシュバックはこのエピソード記憶にあたると考えられる。
何かしらの特定状況や近くによって、まるで時間旅行をしているかのように想起する。
PTSDではありのままを体験するために、身体的反応が起こる。
記憶は単に意味記憶として記号的に記銘されているのではなく、カテゴライズされコード化され記憶されるものがあると提唱したことが、タルヴィングの功績であり、その後の認知心理学や脳科学分野において革新的な意味づけを行ったのである。