おむえす

脳に栄養を

苦しい時にこそ『置かれた場所で咲きなさい』を読む

入院中に何度も何度も読み返した本がある。

以前も読んでいたはずだが、不思議と心にしみた。

年齢を重ねた経験がそうさせるのか、理解力が養われたレディネスなのかはわからなかった。

 

三度ほど読み返した後、当時大切にしていた友人に送った。

一緒に読んで感想を共有し、また同じ気持ちを持ってほしかった。

 

残念ながらそれは叶わなかった。

f:id:psycocoro:20170818085538j:plain

渡辺和子氏の『置かれた場所で咲きなさい』である。

 カウンセリングや障害者支援をするうえでも大切な視点が述べられている。

特に心に響いた言葉がある。

 

 

”刑に服している15歳の少年の話でした。(中略)1人のホームレスが彼の働いている作業場に来て話しかけます。

 

「お前は何かにぶつかった時、反射的に行動し、それから感じ、それから考えるという順序で生きてきたのか。それともその逆の順序だったのか」” p53-54より引用

 

カウンセリングに来られる方は、まず行動することが多い。

 

行動とはいろんな形がある。

我々の想像するような動きとしての行動、動かないという行動、反応するという行動などである。

カウンセリングに来る状態になった時でも、感じている段階である。

考えることは苦痛を伴い、自信を見つめることは難しい。

そこで、一緒に感じることから始めるのだ。

何を考え、そう行動しなければいけなかったのか。

いま、何を感じているのか。

そうして、ようやく考える作業に取り組むことが出来るようになる。

 

カウンセリングの一義的な目的は現在の苦しみを取り除くことにある。

しかし、それは治療ではない。

 

対処だ。

 

治療的なカウンセリングでは同じ状況になった時にこそ、どう対処するのかという力を引き出す。

 

まず行動し、それから感じ、それから考えるといった順序を、

まず考え、そして感じ、それから行動するように変えることが必要だ。

 

本能的に行動することは楽だ。

やりたいようにやるとはまず行動することである。

それは野生動物と変わらない。

野生動物は命の危機に常にさらされているため、選択の余地はない。

我々は人類である。

やりたいようにやっても命の危険はそうそう起こらない。

しかし、結果はついてくる。

その時に感じ始めるのだ。

 

どうしてこうなってしまったのだろう。

 

 

人生を豊かにするためには、まず考えることだ。

どれだけ考えてもいい。

考える訓練を続ければ、瞬時にいくつもの考えが浮かぶようになる。

一つの物事に対して、五つの仮説を立てる。

それが私の行ってきた訓練であった。

正解はいつも確認するまでわからない。

わからないまま行動しては危険を伴う。

 

 

まず考え

 

そして感じ

 

それから行動する

 

 

そう難しい事ではない。

尊厳ある人間としてこの順序を身につけ、他者に悪意を振る舞うことなく、自分自身を豊かにしていこう。